ニキビを潰す

はじめに

肌に赤ニキビができると、その部分に炎症が生じます。「炎症している吹き出物を触るのは良くない」とわかっていても、ついつい赤ニキビを触ってしまい症状を悪化させてしまうのが人の常ですし、症状が進行して膿が溜まり、黄ニキビになると、指や爪で圧迫してニキビを潰し、膿を出してしまいたくなります。

多くの人がニキビを潰す・・・

ニキビに悩む人を対象とする消費者アンケートに、約9割が「ニキビを触る・掻く」、約6割が「洗顔時にニキビを潰す」と回答している結果があります。 ニキビを潰して膿を出すことで、吹き出物症状に対するイライラした気持ちが少しは腫れるのかもしれません。しかし、「ニキビ潰し」は確実にニキビや肌に悪影響を及ぼします。

以下に、「ニキビ 潰す」のキーワードで投稿されたツイッターのタイムラインを紹介します。

このように、ニキビを潰す行為が当たり前になってしまっています。

皮膚科治療の「面皰圧出」とセルフケアの「ニキビ潰し」は違う

皮膚科では、内服薬や外服薬によるニキビ治療のほかに、ニキビに含まれる皮脂や膿、アクネ菌を絞り出す「面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)」という治療法があります。この治療法は、「医療用の細い針」もしくは「医療用レーザー」で吹き出物部分に小さな穴を開け、専用の器具で皮脂や膿を取り除く治療法です。

一見すると非常に簡単そうな治療法で、セルフケアでニキビを潰す行為とよく似ています。「ニキビを直接的に何とかしてやろう!」という思考回路も類似しています。しかし、皮膚科治療の「面皰圧出」とセルフケアで「ニキビを潰すこと」は似て非なるモノです。

面皰圧出では、安全に行うためには特別な医療機器を用いている点にご注意ください。セルフケアでニキビを潰すと、多くの場合、激痛が走るだけで、皮脂や膿を十分に出し切ることができないため、すぐにニキビが再発してきます。むしろ、周囲の皮膚に不必要なダメージを与えたり、細菌を混入させたりすることもあるのです。

ニキビを潰す・・・その結果

ネットサーフィンをしていると「セルフケアとしてニキビを潰すことで吹き出物症状を早く改善できる」という趣旨の記事を見つけることが良くありますし、SNSでもこのような体験談が数多く投稿されています。

しかし、WEB記事は極論ですし、SNS体験談はone of themで投稿されている成功体験の裏にはその何十倍も失敗体験が隠されています(失敗体験をわざわざ投稿する人はほとんどいません)。著者も、本サイトの記事監修者も「ニキビを潰すこと」に反対です。

ニキビを上手に潰すことができず、吹き出物症状を悪化させたり、周囲の皮膚に不必要なダメージを与えたりすることで、重度のニキビ跡(炎症性色素沈着やクレーター)を残しやすくなります。

ニキビ跡の炎症性色素沈着は、正しいスキンケアを継続すると数年で改善していきますが、ニキビ跡のクレーターは一生モノの後悔になります。最近では、フラクショナルレーザーに代表される特別な治療法で状態を改善させることができるようになりましたが、数十万円単位の費用が必要なことと、完全に治る保証もありません。

ニキビ跡を残さないためにも「セルフケアでニキビを潰す行為は控える」ことが得策であることに納得いただけるのではないかと思います。

ライター:田村風威
監修:中浜数理,Ph.D.